グラビアコーターは、ロールコーターの方式の一つです。表面に微細な凹み(セル)を彫刻したグラビアロールを用いて、塗工液を基材に塗布します。
基本的な仕組みとしては、グラビアロールの凹部に塗工液を充填。その後、ドクターブレードと呼ばれる薄い板でロール表面の余分な液を掻き落とし、凹部に残った一定量の液を基材に転写して薄膜を形成します。
生産ラインの高速化に対応しやすく、汎用性が高いため、幅広い製造現場で導入されています。薄膜塗工を求める工程に適した設備です。
グラビアコーターには、ロールの配置や転写方法によって複数の方式が存在します。ここでは、各方式の構造的な違いやメリット・デメリットを比較しながら解説します。
基材の進行方向に対してグラビアロールが正転する基本形です。構造がシンプルで制御がしやすく、毎分300メートル程度の高速塗工に対応します。粘度が低い液剤を用いた薄膜塗工(ウェット膜厚1〜20μm程度)に向いていますが、厚膜には不向きです。
一方、リバースグラビアは、基材の進行方向と逆向きにロールが回転します。液の保持力が高く、ダイレクト方式に比べてやや高粘度の液剤や、比較的厚みのある塗工に対応します。また、設備によってはダイレクトとリバースを兼用できるタイプもあります。
※参照元:松尾産業公式サイト
https://www.matsuo-sangyo.co.jp/innovation/column/direct-gravure/
バックアップロールを使用せず、基材とグラビアロールを軽く接触(キス)させて塗布する方式です。基材への物理的な負荷が少ないため、柔軟なフィルムなどへの塗布に向いており、良好な塗工面が得られます。ただし、高速での塗工にはやや不向きです。
ドクターチャンバーグラビアは、液の供給部とドクターブレードが一体化した密閉・半密閉構造を持っています。この構造により、高速塗布時における気泡の巻き込みや液の飛散を抑える効果があります。
その他にも、直径の小さなロールを使用して超薄膜塗工を行う小径グラビアなどの方式も存在します。
グラビアコーターにおける塗工の膜厚は、グラビアロール表面に施された彫刻の形状や深さによって決まります。彫刻のパターンには、斜線型、台形型、ピラミッド型などがあり、それぞれセルの容積や転写量が異なります。容積精度に優れたロールを使用することで、安定した塗工品質を保つことが可能です。
塗工する膜厚を大きく変更する場合は、基本的にセル容積の異なる別のグラビアロールに交換して対応する必要があります。
薄膜かつ均一な塗工性能を活かし、様々な産業分野で活用されています。
例えば、ディスプレイやタッチパネルに使用される光学フィルムの製造においては、微細な膜厚管理が求められるため、キスリバースや小径グラビアがよく用いられます。
食品や医薬品のパッケージフィルムにおけるバリアコート、ドライラミネート用の接着剤塗工には、高速生産に向くダイレクトグラビアが適しています。
また、二次電池(リチウムイオン電池)の電極塗布や建材のコーティングなど、やや厚みや粘度が必要な工程ではリバースグラビアが採用されるなど、用途や液剤の特性に応じて適切な方式が選択されています。
グラビアコーターは、薄膜塗工と高速生産の面で優れた性能を持つロールコーターです。ダイレクト、リバース、キスリバースなど多様な方式があり、グラビアロールの彫刻パターンの選定と組み合わせることで、幅広いニーズに対応します。
自社の扱う液剤の粘度や目標とする膜厚、生産速度といった条件を整理し、用途に合った方式を選定することが重要です。導入や設備の入れ替えを検討される際は、各メーカーでのテスト塗工を実施し、実際の仕上がりや設備との相性を確認することをおすすめします。
本サイトでは、ロールコーターの用途や動作原理など役立つ基礎知識を他にも掲載します。基材別にロールコーターを提供する企業も紹介していますので、装置の導入や入れ替えを検討にぜひ参考にしてください。
ロールコーターは、扱う基材に応じて製品を選ぶことで、生産性やコスト削減の向上が可能。
ここでは、「PET/PP/PCの基材」「高粘度液を使う基材」「超薄膜が必要な基材」と主要な基材ごとにおすすめの製品を扱うメーカーを紹介します。
反り・収縮・ムラを抑えられる
流れにくい液でもムラを減らせる
静電気・異物によるムラを防ぐ