高粘度・厚膜の塗布に優れ、ロールの隙間で液を計量するコンマコーター。本記事では、コンマコーターの概要をはじめ、基本的な原理からメリット・デメリット、具体的な用途まで詳しく解説します。
コンマコーターは、横から見た形状が記号の「,(コンマ)」に似ているローラー(ブレード)を用いることから、その名前が付けられました。
塗布の仕組みとしては、コンマロールと基材を支えるロールの隙間(ギャップ)に液だまりを作り、コンマ形状の鋭利な刃で余分な液を掻き落とすようにして厚みを規制します。この隙間の調整によって液が計量され、基材上に一定の厚みを持つ樹脂の膜が形成される原理となっています。
製造現場で広く認知されている塗工方式ですが、「コンマコーター®」および「コンマロール®」はヒラノテクシードの登録商標です。一般的にブレード塗工の一種として扱われることもあります。
導入を検討する上で知っておくべき、コンマコーター特有の長所と短所を解説します。
大きな強みは、高粘度のペースト状液剤であっても一定の厚みに塗工できる点にあります。
また、装置の構造がシンプルであるため清掃性が高く、液替えを容易に行えることも特徴です。この扱いやすさから、頻繁に仕様を変更する多品種少量生産や研究開発の用途にも適している方式といえます。
注意すべき点として、液剤に異物が混入するとナイフ(刃)に引っかかり、塗工面に線状の欠陥(スジ)が入るリスクが挙げられます。
また、隙間で液を計量する構造上、グラビアコーターなどの他の方式に比べて高速化が難しく、低速から中速での塗工が基本となる点も考慮が必要です。
コンマコーターは「厚膜かつ高精度な塗布が可能」という強みが求められる分野で多用されています。
具体的には、二次電池(リチウムイオン電池)の電極材をはじめ、合成皮革、粘着テープなどの生産ラインが代表的です。これらの製品はペースト状の液剤を均一に塗工する必要があるため、コンマコーターの特性が発揮されます。
コンマコーターは高粘度液や厚膜の塗布において強みを持ち、多品種生産にも柔軟に対応できる塗工方式です。二次電池の電極材や合成皮革など、厚塗りが前提となる生産ラインであれば、有力な選択肢となるでしょう。
一方で、塗工設備に求める要件は現場によって様々です。「より高い精度で平滑な塗面を作りたい」「極薄膜を高速で量産したい」といった場合は、高精度な膜厚制御が得意な「リバース方式」や、高速塗工に長けた「グラビア方式」など、別の選択肢を検討すべきケースもあります。
生産ラインの競争力を高めるためには扱う液剤の特性や求める品質に合わせ、最適な方式を見極めることが何より重要です。以下のページではロールコーターの主な種類と特徴を掲載しています。ぜひ参考にしてください。
ロールコーターは、扱う基材に応じて製品を選ぶことで、生産性やコスト削減の向上が可能。
ここでは、「PET/PP/PCの基材」「高粘度液を使う基材」「超薄膜が必要な基材」と主要な基材ごとにおすすめの製品を扱うメーカーを紹介します。
反り・収縮・ムラを抑えられる
流れにくい液でもムラを減らせる
静電気・異物によるムラを防ぐ