ロールコーターの導入を検討している企業向けに、ラボ用のバーコーターと量産用のロールコーターの違いを解説します。バーコーターは少量の材料で手軽に塗工できる治具ですが、手塗りから自動機へのスケールアップにおいては様々な課題が生じる場合もあります。
本記事では、直面しやすいギャップとその解決のポイントをご紹介します。
ラボ段階において、なぜバーコーターが主流として活用されているのでしょうか。その理由を詳しく解説していきます。
バーコーターは、少量の材料さえあれば誰でも簡単に素早く塗工できるという手軽さが大きな魅力です。大掛かりな設備を必要としないため、ロールコーターなどの自動機と比較して導入コストが低く抑えられる点も特徴といえます。そのため、研究開発における初期の試作や条件出しのツールとして広く選ばれています。
バーコーターは、ステンレス製のシャフトに細いワイヤーが密に巻かれた構造をしています。このワイヤーの隙間を塗工液が通り抜ける原理を利用しており、ワイヤーの直径(番手)を変更するだけでウェット膜厚を簡単にコントロールできるのが特徴です。複雑な設定を必要とせず、手軽に目的の膜厚を得られます。
ラボでの手塗りで条件が固まった後、量産化に伴いロールコーターなどの自動機へ転換することで、どのような恩恵が得られるのかを整理します。
ロールコーターを導入する利点は、作業の自動化にあります。ロール状の基材を連続的に巻き出しながら塗工し、そのまま巻き取る「ロールtoロール」方式が可能になる仕組みです。これにより、手作業による手間が省け、大量生産に向けた安定した稼働が実現し、生産現場の省力化にも大きく貢献します。
自動機への移行により、手塗りと比較して塗布スピードが向上します。ロールtoロール方式であれば、基材のセッティングや取り外しといった生産工程の中断がほとんどなくなるため、継続的な加工が実現します。その結果、タクトタイムが短縮され、工場全体の生産効率が高まるというメリットを享受できます。
ラボ機(手塗り)から量産機(ロール方式)へ移行する際には、特有の課題が発生する可能性があります。ここでは、注意すべきポイントと対策を解説します。
手塗りの場合と異なり、ロールコーターではロール間を通過する際などに塗工液へ高いせん断力(シェア)がかかります。この「高シェアレート下」では、液の粘度や流動性(レオロジー)が想定以上に変化し、塗りムラや膜厚のばらつきといった品質不良を引き起こす要因となります。そのため、従来の粘度計では把握しきれない高シェアレートでの動粘度を専用の測定器(ハイシェアー粘度計など)で解析し、量産機の稼働条件に合わせて塗工液の成分や粘度を事前に最適化しておく対応が求められます。
手塗り用のバーと自動機のロールでは、塗布時にかかる圧力やせん断力が異なり、ラボで成功した条件がそのまま量産機で通用しないという「ギャップ」が生じやすくなります。これを防ぐには、パイロットコーターを活用して事前に量産機に近い環境でシミュレーションを行うことが有効です。量産ラインでのトラブルや手戻りを未然に抽出し、テストによる無駄な材料ロスを最小限に抑えることができます。
自動機へ移行する際は、塗布後の乾燥工程とどのようにつなぐかが課題となります。このとき、塗工と乾燥を連続して行えるインライン設計が可能な装置を選ぶことがひとつのポイントとして挙げられます。既存の乾燥設備をうまく活用して組み合わせることで、大掛かりな新規設備投資を避け、初期費用を適切に抑えられる可能性があります。
バーコーターによる手軽な手塗りから、連続生産が可能なロールコーターへのスケールアップには、圧力の違いやレオロジー変化といった特有のギャップが存在します。それぞれの特性を正しく理解したうえで、テスト塗工による事前確認や、初期投資を抑えたインライン化の検討を行い、自社に最適な装置選定を進めてください。
ロールコーターは、扱う基材に応じて製品を選ぶことで、生産性やコスト削減の向上が可能。
ここでは、「PET/PP/PCの基材」「高粘度液を使う基材」「超薄膜が必要な基材」と主要な基材ごとにおすすめの製品を扱うメーカーを紹介します。
反り・収縮・ムラを抑えられる
流れにくい液でもムラを減らせる
静電気・異物によるムラを防ぐ