スラリー塗工は、リチウムイオン電池や電子材料、セラミックスなどの製造工程で広く採用されている塗工技術です。スラリーは一般的な塗料とは異なり、液体中に微細な固体粒子が分散しているため、塗工条件や装置の選定によって塗膜品質が大きく左右されます。
そのため、高品質な製品を安定して生産するには、スラリーの特性を理解したうえで、用途に適した塗工方式や設備を選定することが重要です。ここでは、スラリー塗工の基礎知識や主な塗工方式、品質を安定させるためのポイント、スラリー塗工で使えるロールコーターについて解説します。
スラリー塗工とは、液体中にセラミックスや金属、顔料などの微細な固体粒子を均一に分散させた「スラリー」を、フィルムや金属箔などの基材へ塗布する加工方法です。
スラリーは粘度や固形分の割合によって流動性が大きく異なるため、塗工液の特性に合わせて塗工方式やロールコーターを選定する必要があります。ロールコーターはロール間のギャップや回転速度を調整しながら塗布量を制御できるため、スラリー塗工にも広く採用されている塗工方式のひとつです。膜厚の均一性や塗工精度は、そのまま製品性能に影響します。
スラリー塗工には複数の方式があり、塗工液の粘度や粒子径、求められる膜厚、生産速度などに応じて適切な方式を選定することが重要です。
ロールコーターは、複数のロールを用いて塗工液を基材へ転写する方式です。ロール間の隙間や回転速度を調整することで膜厚をコントロールでき、高粘度や高固形分のスラリーにも対応しやすいことから、多くの製造現場で採用されています。
ダイコーターは、ダイヘッドのスリットからスラリーを押し出して塗布する方式です。高精度な膜厚制御が可能ですが、液性や異物混入の影響を受けやすく、運転条件の管理が重要になります。
グラビアロールのセルに保持した塗工液を基材へ転写する方式です。薄膜塗工に適しており、用途によってはスラリー塗工にも採用されています。ただし、塗工液の性状や求められる膜厚によって適用可否を検討する必要があります。
このように、スラリー塗工では用途や塗工液の特性に応じて複数の塗工方式が採用されています。なかでもロールコーターは、塗布量を調整しやすく高粘度・高固形分のスラリーにも対応しやすいことから、多くの製造現場で採用されています。
スラリーは固体粒子を含むため、時間の経過によって沈降や凝集が発生する場合があります。粒子が均一に分散していない状態で塗工すると、膜厚ムラや塗工不良の原因となるため、攪拌や循環などによって分散状態を維持することが重要です。
膜厚のばらつきは製品品質に直結します。ロール間のギャップやライン速度、塗工液の供給量などを適切に管理し、目標とする膜厚を安定して形成できる条件を設定することが重要です。
気泡や異物は、ピンホールや塗工ムラなどの品質不良につながる要因です。塗工前の脱泡や異物管理に加え、設備や配管の清掃を適切に行い、安定した塗工環境を維持することが求められます。
スラリー塗工に使用されるロールコーターは、対応できる塗工方式や塗工液、用途などが製品によって異なります。ここでは、スラリー塗工に対応したロールコーターを取り扱うメーカーと製品をご紹介します。
【選定条件】※2026年6月17日調査時点で、Google検索にて「スラリー ロールコーター」と検索して上位10P以内に公式サイトが掲載されていた、かつスラリーあるいは幅広い基材に対応することが明示されていたメーカー
ロールコーターやラミネーター、スリッターなどのコンバーティング設備を手掛けるメーカーです。フィルムや金属箔などを対象とした塗工装置を開発しており、リチウムイオン電池や電子材料、機能性フィルムなど、高い塗工精度が求められる分野で導入されています。また、塗工装置だけでなく前後工程を含めたライン設計にも対応しており、生産性向上に貢献する設備を提供しています。
| 基材幅 | Max.1200mm |
|---|---|
| 塗工速度 | Max.150m/min |
| 塗布量 | 要問い合わせ |
C7-130は、リチウムイオン電池用セパレータへアルミナなどの耐熱剤を塗工するために開発されたロールコーターです。グラビアキスリバース方式とチャンバードクター方式を採用し、マイクロチャンバードクターによってスラリーを薄膜で安定して塗布できます。また、塗工前にスラリーの状態を整えるシーズニング機能や、セパレータ専用の巻取自動紙継機構を備え、巻芯ロスの低減にも配慮されています。さらに、コロナ処理装置や膜厚計、検査装置などのオプションにも対応しており、品質管理や生産性向上に貢献します。
スラリー塗工では、塗工液の分散状態や膜厚管理、塗工方式の選定が製品品質を左右します。なかでもロールコーターは、高粘度・高固形分のスラリーにも対応しやすく、幅広い用途で採用されている塗工方式です。求める膜厚や生産速度、使用するスラリーの特性に応じて適切な設備を選定することで、品質の安定化と生産性向上につながります。
本サイトでは、扱う基材ごとにおすすめのロールコーターメーカーを紹介しています。ロールコーターの導入や入れ替えを検討する際の参考としてぜひご覧ください。
ロールコーターは、扱う基材に応じて製品を選ぶことで、生産性やコスト削減の向上が可能。
ここでは、「PET/PP/PCの基材」「高粘度液を使う基材」「超薄膜が必要な基材」と主要な基材ごとにおすすめの製品を扱うメーカーを紹介します。
反り・収縮・ムラを抑えられる
流れにくい液でもムラを減らせる
静電気・異物によるムラを防ぐ